May 29, 2011

Field Recording of Beginner’s Guide Pt 1:フィールドレコーディングのビギナーズガイド パート1



今回はDESIGNING SOUNDのField Recording, A Beginner’s Guide (Pt 1)の記事で取り上げられていた、ビギナーの為のフィールドレコーディングガイド、パート1についてアウトプットしていきます。

元記事、画像もこちらより。A Beginner’s Guide to Field Recording, Pt 1
※パート2の記事はこちら。Field Recording of Beginner’s Guide Pt 2:フィールドレコーディングのビギナーズガイド パート2

以下自身による記事翻訳
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フィールドレコーディングは、多くのサウンドデザイナーとコンポーザーにとって、ダークアートのように思われている。しかし、オリジナル素材の貴重なライブラリーを作る方法の一つである。シンプルなガイダンスとアドバイスを通し、二つのチュートリアルで、あなたにフィールドレコーディングの簡単な紹介をする。
パート1では我々が探した機材、ヒント、セッション成功のコツ、レコーディングセッションのリハーサルについてみていく。
パート2では録音した素材のポストプロセスのテクニック、リベレーションシップ、そして一度スタジオに音素材を持って帰り、何をするかについて話していく。


ステップ1:フィールドレコーディングとは何か?
簡単に言えば、フィールドレコーディングとはリアルな世界から音をキャプチャーする過程であり、将来素材の分析、アーカイブ、サウンドデザイン、フォーリー、創作活動などで用いる。それらのサウンドレコーディングにおける過程は、シンプルなものから複雑なものまで様々に及ぶ。あなたが録音したい素材は計画されるもの(例えば銃器の録音) もしくは自然に発生するもの(例えば公共の場所での人混みの録音) もしくはその二つの組み合わせかもしれない。

ビギナーのレコーディングの認識で重要な事は、シンプルでも、もしくは複雑でも、あなたが思ったように出来ることだ。しかし、やる気をそぐ必要はなく、気軽に、簡単なセットアップで、簡単に近所を散歩をする事から始めるのだ。そうすれば結果はあなたを驚かせ、ライブラリーに加える独自の素材を見つけて、すぐに報われるだろう。


ステップ2:商売道具(録音機材)
最初のフィールドトリップの前、あなたはいくつか録音する装備を揃える必要がある。前述したように落胆したり、あなたが何千ドルの高価な装備なしに、プロダクティブレコーディングセッションを持てないのだと自身を説得する必要はない。
録音する事、そして録音する為に使うテクニックは、あなたが使う機材が重要であると同様に大切な事である。以下からは、あなたがスタートする際必要な、基本的な装備の概要を示していく。

・ヘッドフォン
あなたが自分の好きな音を録音する為には、しっかりとしたモニタリングヘッドフォンが必要になる。もし細かいレコーディングオペレーションをしているのならば、イヤーパッドタイプを使う必要があるだろう。もし、より手の込んだセッションをやっているのなら、スタジオ級のヘッドフォンが為になるかもしれない。
個人的には、Audio Technica ATH-M50のような密閉型スタジオヘッドフォンの快適なセットは、実際フィールド内の特定のサウンドをキャプチャーしようとしている、不要なノイズを遮断するために有用である。あなたは少なくても150ドルでヘッドフォンの良い音質を期待出来るのだ。

・マイクロフォン
フィールドレコーディングセッションの為に、あなたが選択するマイクの種類は、録音したい素材、予算、使用しているレコーダーの種類、使っているレコーディングの特定のメソッドなどの素材に応じて幅広く様々である。
Audiotuts+(ホームページの名前)はフィルムレコーディングやマイクロフォンの選択する上での、優れたチュートリアルがいくつか載っている。(film recording/ selecting a microphone)これらのチュートリアルは、どのように取り組んでいくかを決定する上で役に立つだろう。以下が役立つかもしれない、一般的なマイクロフォンの概要である。

1:ステレオマイクロフォン
これらのマイクロフォンは、様々な価格と形状がある。ステレオマイクロフォンには二つの別個の"ヘッド"というマイクロフォンが含まれており、それが一つのヘッドで囲まれている。これらが様々に変化し、バイノーラル、XY、ORTF、およびM-Sなどのレコーディングの方式として使用されている。価格帯は数百ドルから数千ドルの間である。

2:ショットガンマイクロフォン
ショットガンマイクロフォンは、特に距離で特定の音源を対象とする場合便利だ。これらのマイクロフォンは横と後ろの信号をより多くキャンセルする事で、指向性の強い録音が出来る。価格帯は数百ドルから数千ドルの間である。

3:単一指向性、無指向性マイクロフォン(Uni-directional Microphone,Omni-directional Microphone)
あなたはこのタイプのマイクロフォンにすでに慣れている事だろう。これらには、無指向性(Omni-directional )、単一指向性(cardioid)、 鋭指向性(hypercardioid)などが含まれている。
これらのタイプのマイクロフォンは、フィールドレコーディング機能で様々な目的で、ステレオ録音やHDR(High Dynamic Range)技術を使用する際のマイクロフォンのような、ペアを使用する場合に特に便利だ。価格帯は数百ドルから数千ドルの間である。

4:内蔵マイクロフォン
M-Audio、Edirol、Zoomなどが提供する多くのポータブル ‘セミプロ向け’ レコーダーは、オールインワンでマイクを立てる事が出来る
フィールドレコーディング製品である。これらのマイクロフォンはかなり良いクオリティで、ORTFまたはXYなどのステレオ方式などのフォームを使用している。フィールドレコーディングをこれから始める人には、大きい手間や扱いにくいユニットを使わず、これらは理想的な方法である。

・ウィンドスクリーン(風防)
フィールドレコーディングでは、風は良い録音をする為の最も困難な相手だ。
しかし、あなたが快くお金を出したり、もしくはクリエィティブになれば、風をブロックしたり取り除いたりする様々な方法がある。
ハイエンドでは、Rycoteのような会社が提供している特定のマイクタイプにおいて、吹かれの劇的な減少をもたらすハイクオリティなウィンドスクリーン。
ローエンドでは、ファブリックストア(記事などを売っている店)への外出や、自分自身でのノウハウ(DIY(Do it yourself) know-how)でワイヤーフレームを用いたものやファーのような物などの、申し分なく使いやすいウィンドスクリーンを作ることが出来る。
ほとんどのポータブルレコーダーには、スポンジのウィンドスクリーンがの何らかの形で付属している。価格帯は数百ドルから、もっと頑張って20ドル未満までである。

・レコーダー
最後になったが、ポータブルフィールドレコーダーの価格と機能は幅広い。ローエンドの、Zoom、Edirol、M-Audioからのユニットは、安価で良質のステレオフィールドレコーディングに最適のツールだ。ハイエンドでFostex、SONY、Sound Devices、およびZaxcomからのユニットは、より柔軟で(再生に)忠実であり、マルチトラックレコーディングとコンバーター、プリアンプと変換などを提供している。価格帯は200ドルから数千ドルの間である。


ステップ3:プリレコーディングのヒント
生のテクニックでの観点から見れば、フィールドレコーディングはスタジオのレコーディングとたいして違わない。しかし、あなたのミックス(すなわち、現実世界との干渉)によるカオス(混沌)の要素が加わるので(ここは上手く訳せない!)、初めてのフィールドトリップの前に、あなたが特にいくつか心に留めておく必要がある。ここで心に留めておくべき、いくつかのヒントを紹介する。

・天候
理想的なフィールドレコーディングの条件は、あなたが録音しようとしている音源に大きく左右されるが、ほとんどの状況では暖かく、乾燥した日で低風なのが理想的である。
もし、あなたが極端な暑さや寒さの中で録音する状況の場合、自身の録音機材や自分自身に注意を払う必要がある。あなたが気を使うのは雨のような天候の音を録音で、そのような要素(雨など)から機材を守る事を意識しておくのだ。直射日光に長時間さらされる事、雨や雪に長時間濡れる事は、録音機材にとって良くないのだ!

・時間の管理
理想的な条件下でも、フィールドレコーディングには時間が掛かる。多くの場合、それはあなたが思っているよりさらに多くの時間を費やすだろう。旅行、セットアップ、録音、レビューを何度も繰り返し、そして成功、とかなりの時間を費やすことを覚悟しなければならない。
そして、あなたは移動(歩きおよび乗り物)、天候や自然の共同作業である事、そして予想しなかった機材の誤作動(不調)といった事も頭に入れておけば、全て予定に組み込む事が出来る。

・バッテリー(電池)のプランニング
機材が電池で動く場合、予備の電池、すぐ充電出来る機器を持っていかなければならない。あなたは機材を入れているバッグと一緒に、いつも予備の電池を入れておくのだ。
あなたは電池を交換する事を気にしたり、車に取りに戻ったり、店に買いに行ったりという、音を録音するのに全く関係の無い事は必要無いのである。

・セルフケア(自己管理)
信じるかどうかは別にして、フィールドレコーディングはとても大変な活動だ。あなたはお菓子、水、食事でさえ事前に計画する必要がある。もしあなたの脳や身体が100%機能しなくなったならば、ハイエンドな機材を用いても良い判断は下せないだろう。

・動きやすさ
あなたが最初のフィールドレコーディングに出発する前、自身の持ち物の出しやすさをテストしてみるべきだ。どんな状況下でもヘッドフォン、レコーダー、ウィンドスクリーン(風防)、マイクロフォン、マイクスタンド、ケーブル、バッテリーなどをスムーズに取り出せるだろうか。ケーブルを巻き、きちんとし、バッテリーを扱いやすいようにして、 一番使いやすいよう整理して欲しい。

・目標の設定
これは明らかに見えるかもしれないが、フィールドレコーディングの目標が何であるかを正確に知る事は重要である。
自身の目的地を知るのだ、もしあなたが旅行しているなら、緊急事態で誰に連絡を取ったらいいかを知るのだ((事前の)準備やその他の方法で)、戻りたい明確なイメージを持つのだ。
これはあなたが必要な素材を得る確信には十分だろう。


ステップ4:フィールドでの一日
今やあなたは見違えるようで、予習をし、そして前もって注意を払ったプランを持っている、フィールドへ旅立つ時だ。
ここでは典型的なレコーディングセッションはどのようなものか分析していこう。

・トランスポート
あなたはロケーションへ出発し、録音する目的地まで向かう。

・偵察
目的地に到着したら、機材をセットする一番良い場所を決定する為、辺りを偵察する。時としてあなたは録音中、モバイルレコーディング(ハンディレコーダーなどの移動可能な録音機材)の移動をするかもしれない。その場合はあなたの軌道(録音場所を決める位置)を確立する為に、エリアのリハーサルを行ったほうが良いだろう。

・チェック条件
偵察の一環として、あなたは状況をチェックしたほうが良いだろう。どんな天気か?雨が降らないか?そこは湿気があったり猛暑日ではないか?周囲に人が多いか?道に迷った野良犬でさえも、あなたの録音(もしくは機材)の妨げになるだろう。あなたの周囲に対して意識を向ける事は重要であり、そうする事で状況の変化に迅速に対応出来るのだ。加えて機材のセットアップにも役立つだろう。

・セットアップ
次にあなたは全ての機材を設定し、電源を入れ、そして動作確認を行う。また、(もしあれば)バックアップの電源や機材を動作可能の状態にしておいた方が良いだろう。状況に応じて、手元にwind and weatherscreens (天候予測機器の事と思われる)があると良い。

・セッティングレベル
最初の本番テイク前のセッティングレベルは、レベル調節の練習を少ししておいた方が良い。様々な距離で少しづつ録音し、録音したい音のインプットレベルを見積もっていく(調節していく)。
古い格言“GARBAGE IN, GARBAGE OUT(ゴミを入れればゴミが出てくる、つまりナンセンスなデータからはナンセンスな結果しか出てこない、という意味)”を覚えておくのだ。もしあなたの録音がとても静かに始まったら、あなたがスタジオに戻った時、ボリュームを上げなければならず、とてもやかましい音になってしまうだろう。
同様に録音が大きすぎる場合ならば、クリッピングの危険性があり、もし最先端の機材だったとしても、一日を無駄にするかもしれない。

・録音!
あなたは全ての流れをを実行した、機材の準備も完了した、今こそ録音をする時だ。辛抱強く、あなたが録りたい音が多く録音出来るまで時間を掛ける。二回目のフィールドトリップで初めて録音した音以外の音を録音していくよりも、多くのレコーディングを苦労して行う方が簡単である。

・ノートをつける
素晴らしいサウンドデザイナーとコンポーサーになる一つの鍵は、良い司書(librarian)になる事である。はっきりとした個々のテイクはもちろんの事、いつ、どこで、どのような機材で、といった内容を含めたレコーディングセッションのメモをする事だ。
これらはあなたの持ち場で、時間の生産性を高めるのに役立ち、将来のフィールドセッションのための学習ツールとして機能するだろう。

・楽しむ!
最後になったが、楽しむ事!録音やサウンドキャプチャーは楽しい、エキサイティングで、驚く事もある。あなたがキャプチャーした最も素晴らしい音源の中には、少なくともあなたが期待したものが録れているだろう。驚かない準備をし、そして素晴らしい素材は今後の試みでの大きな糧となるだろう!

・結び
パート2では、私が最近録音したオーディオサンプルを含めて、フィールドレコーディングセッションを見てみよう。
スタジオに戻り、これらの音源を向上させる為のテクニックを確認していく。
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※MEMO
単一指向性より指向特性を鋭くしたもの
狭指向性→鋭指向性→超指向性=supercardioid→hypercardioid→ultracardioid

“GARBAGE IN, GARBAGE OUT“ →略して“GIGO“ コンピュータサイエンスの分野において用いられる表現で「ゴミを入れればゴミが出てくる」、つまりナンセンスなデータからはナンセンスな結果しか出てこない、という意味の格言。

機材の動きやすさについて、メモをとる事の必要性を改めて感じた。早急に実践に移したい。

[ Links ]
Field Recording of Beginner’s Guide Pt 2:フィールドレコーディングのビギナーズガイド パート2
Field Recording, A Beginner’s Guide (Pt 1)
A Beginner’s Guide to Field Recording, Pt 1
Audio Technica ATH-M50
film recording
selecting a microphone
Rycote

May 22, 2011

Field Recording of Light Rain and Thunder Through the Window:窓越しでの小雨と雷


2011-5-17 Yokohama, Kanagawa, Japan
(Stereo,96kHz,24Bit)
File name: S00001_st.96k.wav

May 15, 2011

Sound Design of Ratatouille:レミーのおいしいレストランのサウンドデザイン



今回はレミーのおいしいレストランのサウンドデザインについて。

DESIGNING SOUNDの元記事はこちら
“Ratatouille” – Exclusive Interview with Sound Designer Randy Thom
Sound DesignerはRandy Thomさん。

以下自身による記事翻訳
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私にはアニメーション映画の方が実写映画より、ディテールが重要であるかはわからない。しかし、多くのディテールがRatatouilleには含まれている、いくつかの例に挙げると…。
主人公のRemyが(排水管の下水道で溺れつつ、本に掴まりながら)荒い波に乗っている波乱の展開の間、地下の排水管のパイプを通って吹いている風。その場面は音楽的な手法として、私は上手くいったと思う。(これは映画本編を観ると分かるが、下水道の静かな中、徐々に風が吹き始め、次のカットでRemyが水に溺れ流されていく中、風の音が強弱をつけながら鳴り続けている部分の内容を表している)
オーブンの火が燃えるギリギリの所でRemyが(逃げて)助かるカットでは、他の音と何百のガスの火のアップがクロスフェードされている。(これも本編で観た方が分かりやすいが、一瞬なので注意。厨房で皆が働いており、声、足音、調理器具の音が鳴っているのだが、Remyが床下のオーブンの所まで来ると素早く周りの音が切り替えられ、炎の音のみになっているという内容)

私はアニメーション映画のいくつかの部分を監督(supervising)する事がある。私はディレクターとの序盤のミーティングで、かなり幅広く全体的なスタイルについての話と、軽く(少し)詳細についての話を行う。その時は大抵映画の内容は、まだ完全な絵コンテになっていない状態である。アニメーション映画(の会議)では早い段階から、セリフについての協議がほとんどであり、十分な音楽やサウンドエフェクトについての話題はない。私は時々ディレクターに(音楽やサウンドエフェクトの)スペースを空けてもらえるよう頼み、そこでようやく音楽とサウンドエフェクトに関しての話し合いの時間を設けてもらえるようになるのだ。
その点Brad Birdのフィルムではそうする必要はない。何故ならその部分がとても洗練されているからだ。最初のミーティングの後、私は自分の考案したサウンドを数日で作り上げるまでの間中、引きこもり、2〜3週間考えを温める。しかし、他の映画の仕事もしながらなのだ。数週間後、ディレクターが考えている具体的なイメージを形にする為、私は考案したサウンドをディレクターに聴かせ、考えと照らし合わせながら、具体的な方向性を話し合っていく。

私は普段映画のテストスクリーンで、仮ミックスする為の他の別の大きな仕事を行なっている。
そして2、3週間〜2ヶ月後には、我々はさらに6週間程(別の)仕事を行う。その期間にはさらにサウンドのデザインを練る事、プリミックス、そしてファイナルミックスをも含まれている。(別の仕事と並行して行っているという事)

どのようにプリミックスをしているかという質問だが、我々はサウンドエフェクトを編集している間、ミキシングを何回も繰り返す。そうする事で私は音のレベル、基本的な(大まかな)パンニング、リバーブとEQなどの関連性が掴めてくるからだ。それらは全て仮のものとして保存しておき、ファイナルミックスの時に同じProToolsのセッションで、編集マンがミックスしていくのだ。

アニメ映画のフォーリーでは、実写映画のよりも複雑であったり、強烈であったりする必要はない。一般的にアニメフィルムのデザイン、編集、そしてミキシングの過程は典型的な大規模な予算の実写映画が行っている方法と非常に似ている。

ディレクターのBrad Birdは、主にRatatouilleの音楽とサウンドエフェクトの調整を行っていた。
私は普段、スコア(付帯音楽)がキーサウンドエフェクトとして十分聴こえ、調整されるよう、そしてまた音楽が先行するように指示している。
多くのディレクターは、とても映画が不安定になるので、全てのサウンドエフェクトと音楽を同じくくり、タイミングで扱いたがる。
一方Bradのような少数派のディレクターは、与えられた場面で最善のやり方を決める勇気を持っている。
若く未熟なディレクターに人気がある広く知られている神話(噂)がある、素晴らしいアクションシークエンスとは、音楽や効果音両方を同じタイミングで(同時に)配置させるという事だ。
私はそれには絶対反対だ。私が認めるアクションシークエンス、そして長く印象に残るやり方としては、音楽は明確にある部分を支配、そしてサウンドデザインは明確に別の部分を支配するものであるからだ。

私がどのようにSkywalkerでスタートを切ったという話ではないが、私がどのように映画のサウンドデザインをスタートを切ったかという話の説明をしよう。青く晴れた日、映画の仕事に潜り込もうとしている時、私はWalter Murchに呼ばれ、そして私をWalterとBen Burttが、以前モノで公開されていたオリジナル版のAmerican Graffiti(アメリカン・グラフィティ)のステレオミックスをしている所に招待されたんだ。その日の終り、彼は私が見たり聞いたりした事をエッセイに書くよう頼んだ。彼は私が書いたものが好きだったのだ。(ここの部分は I read somewhere you got your start @ skywalker sound by writing an essay to Walter Murch? と作者が質問している所をみると、Walter Murchのエッセイを書いたことでSkywalker Soundに入ったっという記事があったらしい)
そして次のプロジェクト、Apocalypse Now(地獄の黙示録) での仕事で私を雇ってくれた。私は映画学校に行っていなかったが、Apocalypseは今まで行きたいと願っていた映画学校のどんな所より良い所だった。ポストプロダクションクルーは、野心に燃えた目をしている若者とベテランが混ざり合っていて、とても素晴らしかった。
どのグループも互いに励まし合い、映画が画期的なものにする事を目指していた。ちなみにBrad BirdはApocalypseの大ファンで、私達は彼の映画の仕事に取り組んでいる時、時々Apocalypseについて話している。

最後に私はRatatouilleを手がけた Skywalker Soundチームを誇りに思っている。
私の共同監督(co-supervisor)のMichael Silvers、そして一緒に仕事を共にした、素晴らしいSkywalkerのクルーに感謝したい。
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[ Links ]
“Ratatouille” – Exclusive Interview with Sound Designer Randy Thom
Randy Thom
Brad Bird
Walter Murch
Ben Burtt
American Graffiti
Apocalypse Now
Michael Silvers

May 8, 2011

Sound Design of District 9:第9地区のサウンドデザイン



今回は第9地区のサウンドデザインに関するアウトプットです。

DESIGNING SOUNDの元記事はこちら
Exclusive Interview with Dave Whitehead, Sound Designer of District 9
Sound DesignerはDave Whiteheadさん。

以下自身による記事翻訳
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私は1990年にUniversity of Waikato Music Departmentで仕事を提供され、小さいMIDI、録音スタジオで仕事をこなしていた。私の仕事は買った人に機器をどのように使用するかを教える事、そして録音技師の学生が行っている作業の手助けをする事だった。その仕事は信じられないほど身を結び、とても幸運だった。

その時のボス、教授のIan Whalleyは私にプロダクション会社の校内放送の作曲をさせてくれた(おそらくプロダクション会社=University of Waikato Music Department?)。
彼はまたローカルバンドの録音や、学生のショートフィルムの音や音楽を私に任せてくれた。

私は自分の代表(特徴)となる映画のオファーをもらう前に、多くのショートフィルムやシアタープロダクションの仕事を手がけた。その代表となる映画、ホラースリラーのThe Ugly(アグリ)でサウンドデザイナーとしてクレジットに載った。これはサウンドポストプロダクション、サウンドデザインでの衝撃的な出来事だった。確かサウンドライブラリーがわずかにあっただけだったが、私はユニークなサウンドを作り、加工しようと全力を尽くした。
私はその過程を通し、全てのフィルムでの新鮮なパレットを記録する重要性(0からレコーディングする重要性)を学んだ。

Peter Jacksonはニュージーランドの映画業界の原動力であり、彼は音に対して信じられない程良い耳を持っている。彼はいつも自身の心の声に忠実で、我々がチームとしてどのような素材をテーブルに持ってくるのかを理解している。私は彼と一緒に仕事をしているほとんどの人が、彼に対し尊敬などを抱いているだろうと思う。

我々はPark Road Postを拠点にし、The Lovely Bonesの仕事を行っていた。サウンドチームはここウエリントンに落ち着き、次の映画の仕事に移る準備をしていた。そして幸いにもそれがDistrict 9であった。

ディレクターと周りとのチームワークは本当に素晴らしかった。Neill Blomkampは好きな時、我々と話せるようにさせてくれた。 彼はサウンドデザイン用の実験室をいつでも利用出来るようにし、(実験室での)洞察的で的を絞った発表をしてくれた。彼は自分自身が何を作りたいのかを本当に知っていた。そして我々が作った音を楽しんでいた。

Supervising Effects EditorのBrent Burgeと私はこれから行う為に何が必要なのか、彼が何をしようとイメージししていたのかを議論した。そして私の仕事はエイリアンの声と、エイリアンのテクノロジーを手がけることになった。チームの残りはプリダビング(=predub?)の為に、とても円滑に行動しなければいけなかった。

初めははとてもハイテクのエイリアンテクノロジーを構成した。The Exo Suit (映画の中に出てくるロボット型の乗り物)は典型的な例だ。我々はニュージーランドのエアフォース基地で、徹底的に油圧と全ての種類のサーボ(モータ等の自動制御メカニズム)や、ハイテク機器の録音を行った。第一の案ではクラシックなSFの大作だった(推測だが第9地区の元ネタであるNeill Blomkamp's "Alive In Joburg" (2005)の事では?)。
Neillはその案を再検討し、それよりはるかに薄汚く、よりリアルにしたいと言った。彼はそれらを現実世界の音をベースにし、エイリアンのコア(中核)となる音にしたいと言った。そこで私のコンセプトは180度変更し、新しい考えをスタートさせた。

Neillはまた私にエイリアンは昆虫のようで、彼らの社会構造はミツバチの巣箱のようだと言った。その決定で様々な昆虫を録音する事が容易になり(コンセプトが見えたため)、そしてそれはサウンドデザインの要の一つとなった。

メジャーコンセプトの一つとして、防犯カメラの中のローファイ処理機能がある。それはRe-Recording MixerのMike HedgesとGilbert Lakeによって早い段階に決められた事だった。彼らがfutz(?)の量とタイプをコントロール出来たその方法は最後に使われた。(That way they could control the amount and type of futz that was used in the final.を意訳)

メインツールスとしてはSound Devices 722Sennheiser 80508020DPA 4060、コンタクトマイク、その他の録音用グッツを全てのプロジェクトで幅広く使っている。編集ではProToolsとGenelecのモニタリングスピーカーを使用している。仕事で用いるメインのプラグインではAltiverbSound ToysAntares Avox 2、様々な Waves plug、Metasynth、そして私が信頼(愛用)している古いシンセサイザー(モジュール)のRoland JP8080がある。

私が作らなければいけないエイリアンの音素材だが、192kHzで虫の音を録音しようと考えた。そして私は小さな昆虫とクマバチ(丸花蜂)をブースで録音した。それはマイクロレコーディングから得られる、とても面白い素材だった。
またスタッフの一人がアンビエントと一つの音を作る為、スタジオの裏でハエを繁殖させることにした。ウジ虫のたかった腐ったチキンを与え、成長させる為ガラスタンクも与えた。そして最終的には数百の数にまでなり、Park Road PostのADRルームに放した。我々は一匹の羽音、強烈なブンブンといううなりの効いた群れの音など様々な激しい羽の音を録音した。それは不快な事だったが、驚いたことに可笑しくもあった。我々はこのような素晴らしいSF的なアンビエント素材をいくつも録音した。

エイリアンの出す声についてだが、はじめは人というより哺乳動物というイメージを持っていた。海洋生物の声、位置反射の音、舌打ち音(プレデターのような?)、また昆虫のような色々なコンセプトを考えていた。それらの問題は言語のような十分な音の種類がないという事だ。そこで実際の言語にする為、素材を作る必要が出てきたのだ。

言語はこれまででも数百。分類してみるとかなりの数があることがわかった。(The language has hundreds of words so far and the assistant who typed it up for me and I could speak quite a few words to each other by the end.を意訳)
私は声の子音部分を他の素材に置き換えようと考え、自分の声を録音した。そして今まで録音してきた動物の声、ネズミなどがチューチュー鳴く声、きしみ、息遣い、うめき声の母音を人の声の母音と入れ替えた。(つまり人の子音と動物の母音を組み合わせた)
野菜が擦れて出る音素材では右手で色々な表現が出来た。エイリアンの会話の合間に入る、猫が喉をならすような声は、よりエイリアンが考えている音、唸っている音だ。それは私にとってキーワードとなる音となった。

作ったエイリアンの声の中に約10%の人の声の要素があるとする。私はその子音と母音の二つの構成要素に分割し、プリミックスする。我々はこの子音をより少なくすることで、よりエイリアンに昆虫の雰囲気を出させることが出来るとわかった。(There would be about 10% human vocal in the finished alien voice. I premixed the consonants and the vowels as two separate components. We leaned a little more on the consonants, which gave it the more of an insect like feel.を意訳)

劇中に出てくる銃についてだが、アニメーションが上がってくる前の最初の週は、エイリアンの銃と武器に関する構成を練っていた。蜂、パイプの素材音、打撃音、釘を打つ音、シンセサイザーによる効果音の組み合わせはエイリアンの武器の音の一部として使用した。私はそれらの最終バージョンをBrent Burgeに渡し、彼はそれを銃の中の大きなうなる音に使用した。(He definitely put the big boom boom in the guns.を意訳)

緊迫したシーンにスローモーションになったり、カメラが落下していくような演出での音の決定については、一時的?なサウンドエフェクトで映像を盛り上げるようにした。(This was partly driven by the picture editors choice of temp sound effects. を意訳)
彼らはとても上手く働き、我々は自身の仕事をより広げる事が出来た。70種以上のSF的でローファイに感じる音を。
(I made up a an ethereal palette for the film, but I used a very minimal palette for the Wikus ‘headspace’ scenes in the end.)

主人公がMNU laboratory(劇中に出てくるラボの名前)に囚われた時、我々はバックにいる実験動物やエイリアン、エセリアルなサウンドデザインを一歩強めた。

主人公が乗っていたロボットやエイリアンの宇宙船についてのサウンドデザインだが、The Exo Suitは最終的にとてもローテクな素材に終わった。その素材のいくつかを挙げると、タイプライター、小型家電のサーボ、dirt hits(掃除機?)、蒸気機関車の音などがある。私は最初のフルバージョンをカットし、Effects EditorのHayden Collowにミックスしてもらい、ファイナル版の素材にする為に渡した。(I cut the first full version and handed it off to Effects Editor Hayden Collow, for the final hard effects sweetening pass to take it to the mix.の意訳)

宇宙船の核となる部分は非常に簡単になった。ある朝私は自分のシンセサイザーJP8080とプラグインの前に座り、母船とドロップシップ(輸送機)の 基礎となる多量のファイルを録音した。それを私は宇宙船のheavy metal’ versionとし、良いものが出来たと感じた。

最初の頃からクルーのみんなはこの映画が大好きで、VFXによる突出したクオリティーは本当に素晴らしく、良い経験だった。(the outstanding quality of the VFX was really just the cherry on the top of an already fantastic experience.のthe cherry on the topは造語?)私は他のところでもVFXが広まれば、より簡単に画面の音に入り込む事が出来るだろうと思う。

The moving Mothership was difficult in the sense that it was HUGE and in reality you would have heard it non stop. So trying to figure out where and how to keep its presence in the mix without driving the audience nuts was a good puzzle. Gilbert Lake did a fantastic job of mixing that in.

We had a very tight schedule, but I think sometimes on longer schedules we have the tendency to over think films. This was definitely a ‘design the sound for this moment quickly and move on’ situation. For me personally it was Rock and Roll film making at its very best! That’s not to say that I don’t enjoy working on films for extended periods of time!! Of course.

As I said earlier we finished ‘The Lovely Bones’ and I am very proud of our work in that film, but we’ll wait to see what the punters think. I also just finished Supervising a New Zealand Feature called ‘Matariki’ which was a lot of fun.
There are several big productions coming up here in New Zealand, but one cannot speculate until the contract is signed. I’m working on some of my own music at the moment and trying to squeeze in some serious fishing until someone offers me a fantastic job I can’t refuse.
I’m very interested in designing sound for games sometime in the near future also. I’m open to any new challenges.

※ラストにかけての部分がどうしても上手く訳せなかった為、英文のまま記載します。訳せ次第更新予定です。宜しくお願い致します。
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[ Links ]
Exclusive Interview with Dave Whitehead, Sound Designer of District 9
Dave Whitehead
University of Waikato Music Department
Ian Whalley
The Ugly
Peter Jackson
The Lovely Bones
Neill Blomkamp
Brent Burge
Neill Blomkamp's "Alive In Joburg" (2005)
Sound Devices 722
Sennheiser 8050
Sennheiser 8020
DPA 4060
Altiverb
Sound Toys
Antares Avox 2
Metasynth
Roland JP8080
Hayden Collow

May 1, 2011

Sound Design of El Orfanato:永遠のこどもたちのサウンドデザイン



DESIGNING SOUNDより永遠のこどもたちに関するサウンドデザインの記事を読んだのでアウトプットしていきます。

今回の元記事はこちら
“The Orphanage” – Exclusive Interview with Sound Designer Oriol Tarragó
Sound DesignerはOriol Tarragoさん。

以下自身による記事翻訳
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元々ディレクターのJuan Antonio Bayonaとは大学の友人で、彼のプロジェクトに参加しており、そして今回の企画でもためらわず台本を見せてくれた。
スケジュールは2006年11月に始まりプリプロダクションに6か月、ファイナルカットは2006年11月より以前に始まっており、ミキシングが終了したのは2007年の4月。
その中で5週間はサウンドデザインする音としない音の選別、フォーリー素材の作成とセリフのミックスに2週間、
ADR(Additional Dialogue Replacement)や特別なレコーディングにもう2週間。編集とサウンドデザインに2ヶ月、さらに全ての音を一度当てはめて全体を聴いて音楽の修正に1週間、プリミックスに3週間、ファイナルミックスに約1週間。

今回の映画では音を強調させる必要があり、家族が所有していた文明から切り離された古い家に週末行ってみると、そこは風がなく、静かで霧のある冬の日で多くの素材をレコーディング出来た。
stereo Schoeps microphone、MacBook Pro、M-Box ProとPro Toolsを使用し、様々な位置から足音、ドアを勢い良く閉める音、ガラスの窓を開け閉めする音を録音した。特に家の中にある階段の音は後々フォーリーの足音と混ぜ、床のきしみを得るために使用した。

他には除霊の儀式の時に使用する子供達の声。これにはADR(Additional Dialogue Replacement)、子役、子役の身内、そして友達を集め、恐ろしい悲鳴を録ろうと本当に長い時間を費やした。ホラーゲームを子供たちと一緒に行ったりもし、録音に5日かけたのだが、多くの笑い声や無駄な素材も録れてしまった。

ある日気味の悪い音を作ろうとスタジオに自分を隔離し、制作に励んだ。見えない友達のTomásの息遣いを口に水を含みながら作った。息をつまらせるような高いピッチの素材と、やや動物的な、低いピッチの脅かすような素材の二つが欲しかったのだが、そんな時スクリーンライターのSergioが子供の頃から喘息持ちだと言う。そこで彼の呼吸を録音し、息を吸う音に使い、他の音を息を吐く音に利用した。

初の長編映画だったJuan Antonio Bayonaからは以下のようなアイディア(要求)があった。
一つは家の音は古い木のような摩耗した音で特徴づける事。これは繰り返し強調して言っていた事だった。そして彼は空想的な音にしたくはないとも言っていた。反対に霊界と非霊界に二分させるために、全ての音は現実世界にあり得る音素材をとの事だった。彼はいつも現実にあり得る恐ろしい音を要求していたのだ。

私は“The Devil’s Backbone”のサウンド編集をしている時にGuillermo del Toroに会った。彼は全面的に私とJuan Antonio Bayonaを信頼してくれた。そしてthe Cannes Film Festival 2007で映画を観た時、とても音が重要なものだと意識している彼に私とJ.A.は改めて感謝した。そして彼は我々にミキシングさせてくれる機会を与えてくれた。

どのようにシーンをアプローチするか、これが一番難しかった。例えば霊媒師のシーンではまだ現実的な内容なので、サウンドデザインは現実的なイメージと幽霊の声を同時に維持しなければいけない。矛盾が生じとても難しかった、視覚的なアプローチがある時はとても助かった。
そこで霊的な音源には古い機器を通して聴こえるような音を使った。古く現実的な霊的な音。
そしてモノ素材でセンターチャンネルのみから聴こえるようにする事で、空想的な音にせずに表現することに成功した。

家に特徴をつける。これを行うために映画の早い段階で床のきしみや悲しげな音を鳴らすことで、観客に現実感を与え、リアルな音として印象づけた。しかしLauraが子供を探す段階になると客観的に、第六感が働き、床のきしみや悲しげな音が誇張して聴こえるようになり、終盤になると、ますますその音が誇張されていくようにした。

普段は静かだが、急に強いジャンプをするなどで大きな音を入れることで、それらのアクションがさらに強調されるよう意識して行なっていた。

この映画では静けさがとても重要な要素になっている。私は静かで下向きになっていく、そして現実的から空想的に移り変わっていくサウンドデザインを心がけた。最初家のアンビエンスは豊富だった、陽気なくらいに。しかしSimónが行方不明になると、どんどんそれらのアンビエンスが静かになる。彼女の孤独さと絶望さを象徴するかのように。そしてラストSimónを見つけると映画は再び音が強調される、そんな使い方をした。
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“The Orphanage” – Exclusive Interview with Sound Designer Oriol Tarragó
Oriol Tarragó
Juan Antonio Bayona
Guillermo del Toro