May 15, 2011

Sound Design of Ratatouille:レミーのおいしいレストランのサウンドデザイン



今回はレミーのおいしいレストランのサウンドデザインについて。

DESIGNING SOUNDの元記事はこちら
“Ratatouille” – Exclusive Interview with Sound Designer Randy Thom
Sound DesignerはRandy Thomさん。

以下自身による記事翻訳
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私にはアニメーション映画の方が実写映画より、ディテールが重要であるかはわからない。しかし、多くのディテールがRatatouilleには含まれている、いくつかの例に挙げると…。
主人公のRemyが(排水管の下水道で溺れつつ、本に掴まりながら)荒い波に乗っている波乱の展開の間、地下の排水管のパイプを通って吹いている風。その場面は音楽的な手法として、私は上手くいったと思う。(これは映画本編を観ると分かるが、下水道の静かな中、徐々に風が吹き始め、次のカットでRemyが水に溺れ流されていく中、風の音が強弱をつけながら鳴り続けている部分の内容を表している)
オーブンの火が燃えるギリギリの所でRemyが(逃げて)助かるカットでは、他の音と何百のガスの火のアップがクロスフェードされている。(これも本編で観た方が分かりやすいが、一瞬なので注意。厨房で皆が働いており、声、足音、調理器具の音が鳴っているのだが、Remyが床下のオーブンの所まで来ると素早く周りの音が切り替えられ、炎の音のみになっているという内容)

私はアニメーション映画のいくつかの部分を監督(supervising)する事がある。私はディレクターとの序盤のミーティングで、かなり幅広く全体的なスタイルについての話と、軽く(少し)詳細についての話を行う。その時は大抵映画の内容は、まだ完全な絵コンテになっていない状態である。アニメーション映画(の会議)では早い段階から、セリフについての協議がほとんどであり、十分な音楽やサウンドエフェクトについての話題はない。私は時々ディレクターに(音楽やサウンドエフェクトの)スペースを空けてもらえるよう頼み、そこでようやく音楽とサウンドエフェクトに関しての話し合いの時間を設けてもらえるようになるのだ。
その点Brad Birdのフィルムではそうする必要はない。何故ならその部分がとても洗練されているからだ。最初のミーティングの後、私は自分の考案したサウンドを数日で作り上げるまでの間中、引きこもり、2〜3週間考えを温める。しかし、他の映画の仕事もしながらなのだ。数週間後、ディレクターが考えている具体的なイメージを形にする為、私は考案したサウンドをディレクターに聴かせ、考えと照らし合わせながら、具体的な方向性を話し合っていく。

私は普段映画のテストスクリーンで、仮ミックスする為の他の別の大きな仕事を行なっている。
そして2、3週間〜2ヶ月後には、我々はさらに6週間程(別の)仕事を行う。その期間にはさらにサウンドのデザインを練る事、プリミックス、そしてファイナルミックスをも含まれている。(別の仕事と並行して行っているという事)

どのようにプリミックスをしているかという質問だが、我々はサウンドエフェクトを編集している間、ミキシングを何回も繰り返す。そうする事で私は音のレベル、基本的な(大まかな)パンニング、リバーブとEQなどの関連性が掴めてくるからだ。それらは全て仮のものとして保存しておき、ファイナルミックスの時に同じProToolsのセッションで、編集マンがミックスしていくのだ。

アニメ映画のフォーリーでは、実写映画のよりも複雑であったり、強烈であったりする必要はない。一般的にアニメフィルムのデザイン、編集、そしてミキシングの過程は典型的な大規模な予算の実写映画が行っている方法と非常に似ている。

ディレクターのBrad Birdは、主にRatatouilleの音楽とサウンドエフェクトの調整を行っていた。
私は普段、スコア(付帯音楽)がキーサウンドエフェクトとして十分聴こえ、調整されるよう、そしてまた音楽が先行するように指示している。
多くのディレクターは、とても映画が不安定になるので、全てのサウンドエフェクトと音楽を同じくくり、タイミングで扱いたがる。
一方Bradのような少数派のディレクターは、与えられた場面で最善のやり方を決める勇気を持っている。
若く未熟なディレクターに人気がある広く知られている神話(噂)がある、素晴らしいアクションシークエンスとは、音楽や効果音両方を同じタイミングで(同時に)配置させるという事だ。
私はそれには絶対反対だ。私が認めるアクションシークエンス、そして長く印象に残るやり方としては、音楽は明確にある部分を支配、そしてサウンドデザインは明確に別の部分を支配するものであるからだ。

私がどのようにSkywalkerでスタートを切ったという話ではないが、私がどのように映画のサウンドデザインをスタートを切ったかという話の説明をしよう。青く晴れた日、映画の仕事に潜り込もうとしている時、私はWalter Murchに呼ばれ、そして私をWalterとBen Burttが、以前モノで公開されていたオリジナル版のAmerican Graffiti(アメリカン・グラフィティ)のステレオミックスをしている所に招待されたんだ。その日の終り、彼は私が見たり聞いたりした事をエッセイに書くよう頼んだ。彼は私が書いたものが好きだったのだ。(ここの部分は I read somewhere you got your start @ skywalker sound by writing an essay to Walter Murch? と作者が質問している所をみると、Walter Murchのエッセイを書いたことでSkywalker Soundに入ったっという記事があったらしい)
そして次のプロジェクト、Apocalypse Now(地獄の黙示録) での仕事で私を雇ってくれた。私は映画学校に行っていなかったが、Apocalypseは今まで行きたいと願っていた映画学校のどんな所より良い所だった。ポストプロダクションクルーは、野心に燃えた目をしている若者とベテランが混ざり合っていて、とても素晴らしかった。
どのグループも互いに励まし合い、映画が画期的なものにする事を目指していた。ちなみにBrad BirdはApocalypseの大ファンで、私達は彼の映画の仕事に取り組んでいる時、時々Apocalypseについて話している。

最後に私はRatatouilleを手がけた Skywalker Soundチームを誇りに思っている。
私の共同監督(co-supervisor)のMichael Silvers、そして一緒に仕事を共にした、素晴らしいSkywalkerのクルーに感謝したい。
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[ Links ]
“Ratatouille” – Exclusive Interview with Sound Designer Randy Thom
Randy Thom
Brad Bird
Walter Murch
Ben Burtt
American Graffiti
Apocalypse Now
Michael Silvers

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